山口県柳井発電所(2025.06.04)

上関町を訪ねる機会があり、せっかくなので中国電力最大のLNG火力発電所である柳井発電所と柳井発電所エネルギアランドを見学させていただきました。

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同日に巡った上関町についてはこちら

山口県　上関原子力発電所(2025.06.04)

柳井発電所概要

	出力	備考
1号系列(6機)	12.5万kW × 6軸	1,2号機は高温対応で高効率なものに交換予定
2号系列(4機)	19.8万kW × 4軸

中国電力のサイトに、詳細が記載されています。

発電所の設備概要　https://www.energia.co.jp/atom/kami_kensetsu2_haichi.html

火力発電にもいろいろな種類がありますが、柳井発電所のようなLNGを燃料とした発電は比較的環境負荷が少ないとされています。燃料となるLNGはタンカーで産地から運ばれて、発電所構内のタンクに蓄えられ、そこからガスタービンへと運ばれていきます。

構内見学

Webサイト記載のご厚意に甘えて、中国電力株式会社柳井発電所ふれあいホール館長の濱本さまに所内をご案内いただきました。30分ほどの時間を割いて、さまざまな知識やエピソードをご説明いただき、非常にワクワクする時間となりました。以下はいただいた話題の箇条書きです。

発電所の敷地は全部埋立地で緑が多いのが特徴
外国船のタンカーの船員からは喜ばれたりする
火力発電の中でもLNG火力
- 万が一漏れても空気よりも軽いので空中に逃げていくため比較的安全
- 通常のLNGはメタンが90%くらいだが、ほぼ100%のシュエールガスを使うこともある
- シュエールガスは比重がより軽いため同じタンクに入れると上の方に溜まる
LNGのタンクの管理のいろいろ
- 比重の違うガスを一つのタンクに入れる際に混合せずに層をなす場合は要注意
- 比重の軽いガスが上に溜まる
  - →上部からいくらか揮発する
  - →比重が大きくなる
  - →下部の層と比重が逆転する際に一気に入れ替わることがある
  - この際に大きな熱が発生する
- LNGタンクは容器1個8万キロリットル(4万トン)の容量で一般的なタンカーの1.5個分くらい
- タンカー一隻分のガスを移送するのに通常1日(正味半日くらい)かかる
LNG調達のいろいろ
- 原則は中長期契約となる
- LNGは原油や石炭と違い現地で精製するため設備プラントの建設も必要
- スポット購入することもある
- ガスの組成が違ったり輸送船の仕様(輸送設備の場所など)が違ったりする
  - 初めての輸送船だとちょっと緊張する
- ガスの価格は世界情勢大きく変わる
- ウクライナとロシアの問題の際には一時8倍程度まで急騰した
- 船の構造は輸送効率が悪かったが断熱技術の向上などで保管庫の形状が変わって積みやすくなっている
- 輸送中の蒸発対策などが必
ガスタービン
- ガスを燃焼させてガスタービンを回し、その排熱から蒸気を作って蒸気タービンを回す。
- 7〜10号機は1〜6号機よりも新しい世代でそれぞれタービンと発電機の配置が違う
- 1〜6；ガスタービン・発電機・蒸気タービンの順番
- 7〜10：ガスタービン・蒸気タービン・発電機の順番
- タービンが偏ると軸や発電機に応力・負荷がかかって破損しやすくなる
- 発電機が端にあるとメンテナンスがしやすい
- 技術の発展によってメンテナンス優先の配置ができるようになったが50万kw級のものだとやっぱりダービンを分ける必要がある
- 柳井発電所のガスの燃焼温度は1300度程度。発電効率は47%程度。
- これを1600度程度にあげて効率を上げる新世代のガスタービンがあり60%程度になる。1号機と2号機を交換予定。
- 外気温によって効率や出力が変わったりして夏場は取り入れ空気密度が低いので最大出力が下がりやすい。
コントロール
- 需要に合わせて稼働数を変更している。
- 朝夕はたくさん回るけど、春の夕方は1機か２機しかまわってない(訪問したタイミングでは全体の需要が470万Kw、柳井発電所の発電量は22万Kw程度。)
- 6人で２交代８時-20時と20時-8時の体制。
その他
- 太陽光が増えると周波数変動とかへの対応が大変です…
- 上関原子力発電所は、電力源としてはもちろんのこと、これから創っていくんだという意味合いでもやっぱり必要で、その広報活動も柳井発電所エネルギアランドが兼ねています…