投稿者「さいとう」のアーカイブ

風力発電の予備知識

分類いろいろです。

  • 陸上風力
  • 洋上風力
    • 着床式洋上風力
    • 浮体式洋上風力

風力全体

  • 陸上のものは2MWくらいまでの大きさのものが多いが、洋上だと8MW以上もあり10MWを目指しているものも少なくない。
  • 2000kW=2MW=0.2万kW
  • 稼働率は装置が動いている率。設備利用率は発電量も加味した率。

洋上風力

着床式洋上風力

浮体式洋上風力

大分県 滝上・大岳・八丁原発電所(2023.1.16)

大分県にある八丁原発電所に行ってきました。見学者1名のために、展示館でご説明いただき、実際の2号機の見学までさせていただきました。九州電力の皆さま、ありがとうございました!

2009年に見学に行った福島県の柳津西山地熱発電所が当時の国内最大規模でしたが、柳津西山発電所が2017年に定格出力を下げてからは、ここ八丁原発電所が国内で最大の出力の地熱発電所となっています。(柳津西山地熱発電所見学の記録はこちら)

羽田→大分

羽田も大分もあいにくの天気。西風が強かったようで、飛行機は15分ほど遅れて着陸。787-800は新しくて綺麗で静かでとても快適でした。(正確には半分くらい寝ていて覚えてない)

今日のくるま

価格に惹かれて車種を選ばずコンパクトタイプだけの指定をしたところ、マーチでした。車内は広くないけど1人だし、特筆すべき事項は何もない普通の車でした。高速道路も含めてアップダウンが多い大分の道ではもうちょっとパワーがあってもよかったかも。


滝上発電所

出力:27,500kW
方式:シングルフラッシュ

https://www.kyuden.co.jp/effort_geothermal_t_takigami.html

発電所そのものは九重町大字野上寺床2862-12にありますが、生産井、還元井は周囲数kmの山中に散らばっていて、露出配管で発電所と繋がっています。道路沿い、山中問わず至る所で配管を見ることができました。道路を跨ぐときも地下に隠したりはせず道路を跨いでいるのが特徴的です。

発電所は遠隔監視されているとのことですが、メンテナンス等のためか敷地内に何台か車も見えました。

発電所の入口付近には2つの案内板がありますが、泥だらけだったり色が褪せていたりで、宝探しの様相を呈しています。見学者も来ないんですね。


八丁原発電所

出力:55,000kW x 2
方式:ダブルフラッシュ

https://www.kyuden.co.jp/effort_geothermal_t_hattyoubaru.html

発電所の敷地の一角に建てられた展示館はコロナ禍で1日4回の予約制。訪れた日は平日でこの時間の見学者は自分1人だけ、九州電力の皆さん、ありがとうございました。ホールで映像や模型を使って一通り説明していただいたあと、2号機の実機を見学させていただきました。

構内全体で硫黄の匂いが漂います。噴出する蒸気と熱水には微量の硫黄が含まれているとのことでした。

蒸気井と還元井は2号機のものは現時点でそれぞれ15本ずつあり、発電所構内だけでなく近隣に分布していいます。蒸気井は760m~3000mもの深があり、いずれもキャップロックの下部の地熱貯留層へとつながります。各井戸は発電所ごとに最初から決まって作っているわけではなく、蒸気の出が悪くなると閉鎖するし、必要に応じて新しいものを調査掘削するそうです。圧力が低い還元井は不純物が付着しやすく、機能を果たしづらくなり閉鎖となることが多いそうです。

地熱発電は仕組みそのものはシンプルです。集められた蒸気と熱水は高さ数メートルの円筒の気水分離器で蒸気が分離され、気水分離器を横にしたよりやや短いくらいのサイズのフラッシャーという装置で残された熱水からも蒸気が生成され、その両方が蒸気タービンへと送られます。この2段階の蒸気獲得の方法はダブルフラッシュと呼ばれます。

建屋にある蒸気タービンは毎分3600回転の発電機と繋がっていて、11,000V、60Hzの電気を生み出します。蒸気は温水となり復水器で冷却され還元井へ、生み出された電気は建屋外の変圧器で11万Vへ昇圧され、変電所へ送電されます。建屋内にはタービンと発電機が2セットとタービンブレードの保管庫があります。普段は予備を保管しているようですが、このときはメンテナンスのために長崎の造船所に送られていて不在でした。建屋内では大きく重い機械が回転する音が響いていました。


大岳発電所

出力:13,700kW
方式:シングルフラッシュ

https://www.kyuden.co.jp/effort_geothermal_t_hattyoubaru.html

八丁原発電所から2kmほど山道を走った山中にある発電所です。宿舎や事務所がそばにあり、工事期を除けば滝上発電所、八丁原発電所の監視もここから行っています。なんで大岳発電所等の遠隔監視なんだろうと思っていましたが、人がいる施設があるからなんですね。

こちらでも、近隣には露出の蒸気配管が走っていて、少し離れたところでは井戸の掘削が行われていました。


九重”夢”大吊橋

https://www.yumeooturihashi.com/

九重の観光名物だそうで大人は500円で往復できます。簡単には壊れないと分かってはいるけど、風が吹くと揺れるしなかなかドキドキです。係の方曰く、観光客が多い時の方が揺れるらしいです。この日はとにかく寒かった。紅葉の時はものすごく綺麗な眺めらしいですよ。

一路、東京へ

無事に帰れます。帰りはソラシドエアの737-800、飛行機はがらがらで、見た感じでは搭乗率は半分もなさそうな感じです。そのおかげか、羽田ではかなり遠い駐機場にとまって、バスで移動…。そこら中をぐるぐる回り、ターミナルまで15分くらいかかりました。

福井県 大飯発電所・高浜発電所(2021.9.15)

今回は隣接する二つの原子力発電所、大飯発電所と高浜発電所を目指します。2011年の東日本大震災で福島の発電所が廃炉を決定した今、訪問していない国内の原子力発電所はこの二つのみ。今回でその全てを回りきることができました!

東京 → 福井

羽田から伊丹まで飛行機で移動し、伊丹からレンタカーで若狭湾へ。

この日の飛行機はエアバスA321、ナローボディ機で比較的小さめの機体ですが、全席に液晶モニタが装備されるなど快適な環境。写真中央に見えるD滑走路から離陸しました。

レンタカーはカローラアクシオ、いわゆる普通のセダンで車体は小さく取り回しがしやすい感じでしたが、あまりに普通すぎてつまらなかった。お金をケチらず車種指定をしてもよかったかな。

大飯発電所

大飯発電所は半島の北西側にあり、南からも東からものぞけない構造になっている。周囲を走り回ったものの半島の先の施設の一部がちらっと見えるだけで、あまり面白みはない。半島に向かって送電線が伸びていることから、電力に関する大きな施設があることがわかる。

以前は発電所に近い位置に「おおいり館」という施設があって、発電所の模型があったり、発電所の一部をのぞくことができたりしたが、今は入れない。発電所の入口の奥に、山を抜けるトンネルが見える。全景を見るには、海側からのぞくしかなさそう。

大飯発電所概要

原子炉形式出力運転開始日状況
1号機加圧水型軽水炉(PWR)117.5万kW1979/3/27廃炉(2018/3/1)
2号機加圧水型軽水炉(PWR)117.5万kW1979/12/5廃炉(2018/3/1)
3号機加圧水型軽水炉(PWR)118万kW1991/12/18稼働中
4号機加圧水型軽水炉(PWR)118万kW1993/2/2稼働中

関西電力所有の大飯発電所は、1,2号機、3,4号機がそれぞれセットになっていて、タービン建屋などが一緒になっている、らしい。

エルガイア おおい

おおいり館は閉鎖中だが、代わりに「エルガイア おおい」という施設が発電所から車で10分ほどの場所にある。大部分は他の原子力発電所周辺の展示館と変わらない。ただ、このエルガイアおおいにはすごいところがある。それは、併設されている原子力運転サポートセンターに設置された大飯発電所と高浜発電所の中央制御室のシミュレーターを見られること。液晶が並んだ制御室と、メーターやランプが並んだ制御室、この二つを眺めるだけでも、ここを訪ねる価値がありそう。

高浜発電所を見る

エルガイア おおいから車で20分ほどのところに高浜発電所がある。半島を北上して赤色のいきれいな橋が見えたらその手前の道を左に曲がると発電所の入口へ。下の写真はそのまま入口を通り過ぎてしばらく進んだところからの景色。この道路を通ると、原子炉建屋のかなり近いところまで近づくことができる。他の発電所ではできない経験だった。

そのまま数キロ先へ進んで堤防の先へ行くと、原子炉建屋が4個全部見える。

多くの原子力発電所は排熱のために外洋に面していますが、高浜発電所は湾内に建設されています。すぐそばまで釣り船が出るなど、とても穏やかな雰囲気でした。

高浜発電所概要

 原子炉形式出力運転開始日状況
1号機加圧水型軽水炉(PWR)82.6万kW1974/11/14定期点検中
2号機加圧水型軽水炉(PWR)82.6万kW1975/11/14定期点検中
3号機加圧水型軽水炉(PWR)87.0万kW1985/1/17運転中
4号機加圧水型軽水炉(PWR)87.0万kW1985/6/5運転中

関西電力所有の高浜発電所は、1,2号機、3,4号機がそれぞれセットになっていて、タービン建屋などが一緒になっている。(大飯発電所と同じ)

但馬空港

高浜発電所を後にして、豊岡駅へ向かう。レンタカーを返却して、但馬空港まで送ってもらいました。少し早めに着いたので周囲を散策。YS-11の展示はなかなか迫力がある。

この空港、保安検査通過後のロビーには自販機すらないので要注意です!

ATR42-600

迫力あるプロペラ機、羽の真横の席でドキドキ。離陸や巡航、着陸時に、プロペラのピッチが変わる様子が撮影できました。短いフライトだったけど楽しかったー。

兵庫 → 東京

伊丹空港経由で羽田へ帰ります。伊丹からは787、快適そのものでした。

茨城県 東海発電所・東海第二発電所(2021.7.19)

今回は日帰りで近場の発電所を見てきました。月曜日は発電所そばの見学施設の休館日。冷静に考えてこれは失敗でした。

常磐線で水戸へ

上野駅から常磐線のひたちで水戸を目指す。117.5kmを1時間14分で走ることになるが、前半の近郊区域は速度を上げてもせいぜい90km/hくらい。これで間に合うのかと不安になったが、後半は120-130km/hで快調に飛ばして予定通り着。水戸でレンタカーを借りて、ちょっと寄り道をしたあと東海村へ。

発電所を内陸側から

どこの発電所でも同じような状況だが、内陸側からは発電所はほとんど見えない。茂った木々を見ながらひたすら道が続く。途中、東海原子力館別館が見えた。ちなみにこの別館の開館に伴ってもともとあった東海原子力館(テラパーク)は予約者限定の施設になった。本日は月曜日でどちらも休館だったが、テラパークからの方が発電所の全体像を掴みやすいらしい。

※写真は停車中に撮影したものです

初期から地元の理解をある程度得られてきたのか、「反対!」のような掲示や展示は特に見られなかった。

発電所を海側から

久慈川を渡って、北の海側から発電所を覗いてみた。排気塔の右に見える建物が東海第二発電所で、奥に見えるくすんだ建物が廃炉処理中の東海発電所。現在は110万KWの発電所が一つということで、送電設備はあまり大掛かりではない感じ。

もう一度久慈川を渡って、発電所北側の砂浜からも撮影。砂浜を300mくらい進んだところでタイヤがスリップして、それ以上進むのを断念。というか、無事に戻れてよかった。

東海発電所・東海第二発電所概要

http://www.japc.co.jp/tokai/index.html

どちらも日本原子力発電株式会社の発電所。東海発電所は日本初の商業原子力発電所という歴史的な施設で、建設、運用から廃炉処理に至るまで、いろんな情報を得るためにも使われている。東海第二発電所の送電先は8割が東京電力、2割が東北電力となっている。

形式出力状況
東海発電所黒鉛減速・炭酸ガス冷却型(GCR)16.6万KW廃炉処理中
東海第二発電所沸騰水型軽水炉(BWR)110万KW停止中

南側には大きな大きな工場が

発電所南側の海岸沿いには、全長1kmを超えるような日立建機やコマツの工場が立ち並ぶ。工場の横を走ってみると、その大きさに驚かされる。

水戸駅はディーゼルカーがたくさん

水戸駅に戻って帰りの特急ときわを待つ。鹿島臨海鉄道やJR水郡線など、ディーゼルカーが複数見られる。ディーゼルカーだけを目的にこの地を訪れて、一日中乗っていたい。

ベランダ発電所の記録

大きな商用発電所も面白いですが、手元で思い通りの発電所を作るのもおもしろい、ということで、ベランダに置いたソーラーパネルの記録です。(別なブログで書き始めましたが、いずれこちらに完全に移行します)

詳細は以下のリンクをクリックしてください!

都道府県別の電力需給と発電種別一覧(2019年度)

青森であんなに発電してどこで使うんだろうと思って、暇つぶしで調べた結果です。
ただ数字を並べただけですがご興味があれば見て遊んでください。

※データには太陽光とか風力とかも含むので、「最大出力計」が実現できるわけではありません。
※厳密には各所でのロスとかあるんだと思いますがあんまり気にしないでください。

出典:経産省2019年度統計
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results_archive.html

青森県 東通原子力発電所・大間原子力発電所(2020.11.24)

今回は青森県の東通原子力発電所と大間原子力発電所を目指します。2つの発電所だけでなく、青森県にある原子力関連施設も見に行きました。

コロナということもあり、現地ではレンタカー会社と途中で寄ったコンビニの店員さん以外とは一切言葉を交わさない、食事もしないというなかなかの強行旅行でした。もっとも、8時間程度の滞在時間で300km以上も走ることになったのでそんな余裕がなかったのも事実ですが。

羽田→三沢

本州を北上して八戸あたりから東に旋回し、八戸飛行場の横を通って太平洋へ。旋回して三沢空港に着陸します。写真の中央に見えるのは八戸飛行場です。


東北電力 東通原子力発電所

https://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/safety/higashi/index.html

空港からひたすら北上すること60km強、コンビニどころか建物もないような林の中をひた走ります。1時間半ほどでようやく発電所周辺に到着。

まずはスペックから。最終的には東北電力2機、東京電力2機の計4機の原子力発電所が建設される予定でしたが、現在稼働しているのは東北電力の1機のみです。

形式出力運転開始状況
東北電力1号機BWR110万kW2005年12月8日定期検査中
東北電力2号機ABWR138.5万kW計画
東京電力1号機ABWR138.5万kW建設中断中
東京電力2号機ABWR138.5万kW計画

東北電力の発電所の周囲は実際に稼働しているだけあって、有刺鉄線、柵、カメラとかなり厳重。太平洋岸沿いで湾などではないため、横から眺めることはできず、柵の中は木々が茂る林でその先は見えない。変電所付近からかろうじて見えた発電所がこちら。山側からの中央ゲートは「撮影禁止」と書かれていました。撮影しちゃったけど掲載は自粛します。

一方、その北側の東京電力の建設地の警備は比較的軽く、その気になれば中に入れそうな感じです。

詳しい説明があるはずのPR館は今日はお休みです。生垣の雪除けの設置工事中でした。


リサイクル燃料備蓄センター

http://www.rfsco.co.jp/disclosure/visitor_house/index.html

東通から大間を目指すその最中に遭遇。 広い敷地内に保管施設があるようです。他の施設同様、周囲は有刺鉄線とカメラという非常に厳重な警備でした。


本州最北端

大間発電所に行く途中で、本州最北端にちょっとだけ寄り道。気温の低さもさることながら、風が異常に強い。顔の向きに気をつけないと身につけているマスクが飛んでいってしまいそうでした。


J-Power 大間原子力発電所

https://www.jpower.co.jp/bs/nuclear/

未完成の発電所、1機のABWRは建設中断中。93%くらいできているみたい。こちらも海岸線沿い横から覗けなかったので、陸側の道路から撮影。確かにほとんどできている。


日本原燃 原子燃料サイクル施設

六ヶ所原燃PRセンター
https://www.jnfl.co.jp/ja/company/facility/
https://6prc.jp/

原子燃料サイクル施設が1箇所に集まった施設があり、PRセンターからはこれらが一望できます。現在稼働中なのは高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、ウラン濃縮工場、低レベル放射性部室埋設センター、建設中なのが再処理工場とMOX燃料工場です。

PRセンター内の展示は、全体としての情報量はあまり多くないものの、繰り返しの解説と展示で、素人の僕にも十分に理解できる内容でした。

PRセンターの展望スペースから眺める景色には風力発電の風車がものすごく多い。大きいものだけで100近くあるそうで、あちこちで見かける小型のやつも含めると桁違いな感じ。真ん中に見える薄い緑っぽい施設は石油備蓄基地です。


沿道の風景

全国各地の原子力発電所を見てきた中でも、東通ほど周囲に建物がないところはほとんどなかった気がします。原子力関係の施設では多かれ少なかれ周囲の反発があることを考えると、この青森の地に発電所や処理施設がたくさんできるのも納得です。この日、「原子力反対!」みたいな掲示をほとんど見ることはなかったのですが、あちこち走っていてようやく一つ見つけました。

大間に近づくと「交通監視所」なるものが道路沿いにいくつか登場、中では常に人が道路を監視しています。これも地元の反対派かと思ったのですがどうやらその逆で、大間発電所の電源開発(J-POWER)が設置しているものの様子。地元の理解を得るための努力のようです。←違っていたら教えてください!

本日の車はパッソ。白くてシンプルだから、なんだか営業車みたいだ。


三沢空港へ

早めに空港に着いたので、展望デッキから滑走路を眺めます。この滑走路は自衛隊と米軍と共用で、民間機は1日に数便しかありませんが、軍用機はひっきりなしに離発着していました。

民間の空港施設と滑走路等の空港施設の間には重そうなゲートがあって、民間機が出入りするときだけゲートが開きます(真ん中の写真の中央部、青いライトの上にうっすら見えるグレーの橋みたいな細長いやつ)。ゲートが開く場面を見ていましたが、すごくゆっくりで見ていても気づかないくらいの速度です。