今日の目的地は北海道の泊発電所。
羽田から新千歳まではANAの777-300で1時間半ほど。機内ではWi-Fiも使えて、快適なフライトでした。空港でレンタカーを借りて、高速と一般道で約2時間、余市まで高速道路があるのにナビの古いデータに従って小樽から一般道に入ってしまうというアクシデントを除けば非常に順調に到着。
空港から約150km、付近まで行っても発電所が見えない。北側には入口らしきゲートがあるが見えるのは事務所とトンネルのみ。南側の海水浴場の先も崖と行き止まりの道路のみ。
南側入口横 南側から海岸線へ続く道
内部の見学で分かったことだが、もともとは崖っぷちに旧道があったが、この旧道に沿って崖を内部に削って用地を確保したようで、陸の横からは内部が見えづらい構造となっている。対岸からはその全景がしっかりと見える。
発電所全景 発電所全景
原子炉は出力57.9万kwの1,2号機(写真の左側の二つ)と91.2万kwの3号機(写真右側のドーム)の計3つ。どちらも加圧水型。
今回は北海道電力さんのご厚意で、外から眺めるだけでなく内部をご案内してもらえることに(事前に予約が必要)。発電所のとなりのとまりん館で受け付けを済ませ、発電所構内まで車で送っていただきつつ、解説していただきました。せっかくいろいろなお話をいただいたので、その時のメモを残しておこうと思います。
- 施設は意外に鮮やかな配色となっている
- 原子炉建屋をはじめとして建物の色には意味がある
- 夕日やメロン、電気や人
- 燃料も建屋の中に
- 一年間の運転後、約3か月の定期検査を実施(最後の仕上げは国の検査官)する。このタイミングで1/3ほどの燃料棒を入れ替える。
- 建屋内にあるの使用済み燃料の貯蔵庫残量は10年分くらい。いっぱいになってしまったら、外部の貯蔵や処理施設を利用する必要が出てくる。
- 数十万キロワットを安定的に確保できる電力源は今のところ他にない。
- 一部の水力発電を除いては、発電量に変動が大きい。
- 常時1500人もの人が働いている(うち500名程度が北海道電力)
- 安全対策
- 北電と道と4地域の3者協議でさまざまな安全対策がほどこされる
- 地域への影響はそれぞれが独自に調査(取水と排水の温度差は7度まで等)
- 付近の山肌は山火事からの発電所への延焼を防ぐためにコンクリートで覆われている
- 構内には路線バスみたいなのが走っている。福島の事故対応の際に、構内にある車が邪魔になった。その反省を生かして不必要な車通行無くし、定期的な移動手段を確保している。
- 現在の主流は「事故がない」ではなく「事故が起きても問題が大きくならない」
- そのために必要なのは電力と水
- 電力は送電網と移動発電機
- 水は海水を利用する
- 現在は定期検査中
- 震災の影響を受けて2012年より検査中
- 運転をしていないからこそのメンテナンスもある
- 例えば金属の塊であるタービンは、停止状態だと自重でたわんでしまうため、それを防ぐために、エネルギーを使ってゆっくり回したりする
- 発電所の寿命は40年と決められた
- 1号機はあと10年もないため、再稼働ができなければ廃炉も視野に入る。今の主流は改良型加圧水型原子炉だが、今後の新規設置の目途は国内ではついていない。
- 実稼働を経験していない運転員も増えてきており、伊方原発などで経験を積ませてもらっている
- 福島以後、国の検査基準が厳しくなった。
- 再稼働に向けては大筋はクリアしているが、細かい要件を調整している段階。
ここには書けないような話も含めて、約2時間をかけてじっくりとお話をいただきました。とまりん館の灘さま、渡辺さま、ありがとうございました。
小樽でレンタカーを返して、札幌駅に寄り道して、新千歳空港へ。帰りはスカイマークの737-800、モニタがなかったり、シートがちょっと簡易的な感じだったりするところはありましたが、搭乗口、機内のアナウンスやサービスは良く、飛行中の音も静かで快適でした。