物件の仕様で、オフィス内に鉄筋コンクリートと金属のドアで囲まれた狭いスペースがあって、そこにWiFiの電波が届かなくて困っている、という話。
BuffaloのWAPS-1266を使って室内外でWDS接続を行っていて、ドアを開けた状態だと室内外で問題なくWiFiが利用でき、また、ドアを開けた状態だとその部屋の外にあるアクセスポイントからのWiFiの電波も十分に受信することができ、zoomなどの利用にも問題がない状態。ところが、ドアを閉める(=完全に密室にする)とアンテナのマークが心許なくなったり、つながっているように見えても接続が切れるという問題が発生。
ドアを閉めた状態でWiFiを使えるようにするには、室内にアクセスポイントを設置するしかなく、考えた解決策は次の三つ。
- 薄い隙間ケーブルを使って金属ドアの隙間を通す。
- きちんと業者さんに工事してもらってLANケーブルを通す。
- PLCアダプタを使う。
1.薄い隙間ケーブルを使って金属ドアの隙間を通す。
隙間ケーブルはメーカーや種類でいくつかの製品があるが、基本的には「通信速度・安定性・機能性」と「薄さ」がトレードオフの関係になります。今回検討したのは量産市販されている中では薄い方のサンワサプライの500-LAN-FLFFでした。他のメーカーからも品番を変えた同じ製品が販売されています。
サンワサプライ 500-LAN-FLFF
確かに薄いのですが、凸凹したドアを這わせるにはそれなりに固いのと、29cmという長さが今回のドアには少し足りませんでした。ドアの両側の枠の外側でプラグを固定できるような場所があるかどうかも設置のポイントになります。
2.きちんと業者さんに工事してもらってLANケーブルを通す。
最終的な選択肢として、一旦飛ばします。
3.PLCアダプタを使う。
結論から書くと、今回はこれが正解でした。使ったのはTP-LinkのWiFi 中継機 PLCアダプター TL-WPA4220 KITというもの。PLCアダプタは他にもいくつかありますが、「有線-有線」だけでなく、片方のアダプタからWiFiの電波を飛ばせる(つまり、アクセスポイントが不要)という利便性からこの製品を選択しました。
TP-Link WiFi 中継機 PLCアダプター TL-WPA4220 KIT の設定手順
- WiFiの機能がない方の端末(以下親機とする)を室外のコンセントに接続
- WiFiの機能がある方の端末(以下子機とする)を室内のコンセントに接続
- 親機と子機のペアボタンを押して、親機と子機を接続
- 購入したままの設定ならここは不要なはず
- 親機を有線でルーターに接続
- 子機のWiFiにパソコンを繋ぎ、設定画面でWiFiの設定を変更
- 最初に接続した時にパスワードを設定する必要があります
- 必要なのはWiFiの設定くらいで、PLC接続についてはリンクの確認こそできますが設定項目はほぼありません
このくらいの流れで数分で完了しました。PLCでは親機と子機の間に分電盤があるとうまくいかないとか、コンセントに繋がれた他の機器の影響を受けるとかまあいろいろな検討事項がありますが、実際には「やってみないとわからない」という印象。今回は「ルーターに近いコンセント」と「利用者に近いコンセント」で160Mbpsくらいの速度でのリンクができたのでこれでよしとします。思うような速度がでなければ、別なコンセントで試す予定でした。